パターンデザインプロジェクトについて

 パータンデザインは、衣服やカーテンなどの布製品や壁紙、グラフィックの背景など、日常の様々な場面で使用されている、とても身近なデザインの領域です。パターンデザインは、ユニットと呼ばれる最小の単位である平面を充填できるカタチにデザインをおこない繰り返し並べることで全体像が浮かび上がります。このユニットによる繰り返しによる1つのユニットでできているとは思えないようなパターンデザインが全体として浮かび上がるのが大きな魅力です。また、全体を繰り返し並べる際にユニットの角度を変えることで、無限の組み合わせと想像を超えたパターンデザインが生まれることも制作する際の大きな魅力です。
 しかし、パターンデザインを制作しようとすると、その制作はいくつかの原因により難しいことが分かります。その大きな原因を2つ挙げると、その1つは、デザイン全体の把握の難しさ。もう1つは、パターンデザイン全体を制作する際の繰り返しの作業になります。

 1つの目のデザイン全体の把握の難しさは、1つのユニットを繰り返すことで全体ができあがるパターンデザインの特徴によるものです。パターンデザインは、それを構成するユニットをデザインしますが、そのユニットがどのようなパターンデザインをつくり出すかは、実際にユニットを一定の数で繰り返し並べてみるまで把握することができません。最小の単位である1つのユニットのデザインが良くても、それを全体で並べた時にパターンデザインとして全体が良くなるわけではありません。パターンデザイン全体として良くなるように想像しながら、最小単位のユニットをデザインするには一定の経験が必要になるため、このことが制作の難しさへと繋がります。
 2つ目のパターンデザイン全体を制作する際の繰り返しの作業の難しさですが、これはユニットをデザインした後、パターンデザイン全体を確認する際に生じます。パターンデザインは、前述の通り、1つのユニットだけではパターンデザイン全体を確認することができません。全体を確認するためには、1つのユニットを複製して、そのユニットで隙間なくパターンになるように並べる必要があります。これを充填といいいますが、手作業でこれを行おうとすると、1.基のユニットをコピー機などで複製する。2.カッターなどで切り出す。3.充填するように並べる。この3つの作業をパターンデザイン全体が把握できるまで繰り返す必要があります。正方形のユニットの場合は、少なくても横4列、縦4行の16枚分がパターンデザイン全体を把握するのに必要です。16枚並べることではじめてユニットによるパターンデザイン全体の良し悪しが検証できます。しかし、この16枚分、16回の作業は特に面白い作業でもありません。その上、ユニットのデザインが不十分であった場合は、ユニットのデザインを調整してから、また、この16回分の作業を繰り返す必要があるため、余程この作業自体に面白さを感じることができない限り、負担でしかない作業です。さらに、ユニットを並べる際に角度を調整しながらユニットの組み合わせを考えることは、とても難しいことです。
 しかし、これらの作業における困難さを無くすことができれば、パターンデザインの制作は基本ユニットにデザインした一つのことが、パターンデザイン全体にいきわたる無限に続く創造性に触れることができる魅力にあふれています。

 このようなパターデザインならではの制作時における難しさを、本プロジェクトでは、パターンデザインのウェブアプリケーションを開発することで解決を目指しました。現在は、トライアングルパターンメーカー、スクエアパターンメーカー、スクエアパターンメーカーハーフステップ、パラレログラムパターンメーカーと、4種類のパターンデザインが学習、制作できるウェブアプリケーションを実現しています。

トライアングルパターンメーカー
http://pattern-project.net/TPM/

スクエアパターンメーカー
http://pattern-project.net/SPM/

スクエアパターンメーカーハーフステップ
http://pattern-project.net/SPMHS/

パラレログラムパターンメーカー
http://pattern-project.net/PPM/

本プロジェクトは、JSPS科研費15K00682,18K11952の助成を受け研究、開発したものです。